豚黄金との再会

 大学生の頃、大学の近くに居酒屋があった。冬の鍋がとくに美味しかったが、他にも数あるなかで、ひときわ目立つメニューがあった。

 「豚黄金」

 「ぶたこがね」と読むその料理は、小判状の豚肉に衣をつけて揚げ、ネギをのせてタレをかけたものである。厚みのある豚肉にサクサクした衣とタレが絶妙に絡み合い、酒の肴には最適だった。

 大学を卒業してから、はや9年がたつ。キャンパスにはゼミのOB会関係の用事があるときぐらいしか、訪れることがない。その店にも永らく足を運んでいない。豚黄金のこともすっかり忘れていた。


 先日、近所の定食屋に行った。壁に貼られているメニューを見ていたら、ある文字が目に入った。

 「豚黄金」

 久々の再会である。頼んでみた。
 出てきた料理を見てみると、小判状の豚肉がベースとなっている点は、かつて見た豚黄金と同じだが、豚肉は玉子でとじられ、洋食風にデミグラスソースがかけられている。居酒屋の豚黄金とは趣がだいぶ異なる。こちらは酒よりもご飯に合う。

 和風と洋風の違いと思われる。

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